ニュース

2019.12.03

医療ニュース

医学を中日交流の架け橋に—日本の糖尿病医・飯塚陽子博士をインタビュー

人民網のインタビューに答える東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科の副科長を務める飯塚博士(撮影・鄭瑾)。

 

中国でも現在、「生活習慣病」患者が増加しており、例えば糖尿病患者はその数が急増している。世界保健機関(WHO)の統計によると、中国の糖尿病患者数は1億人を超え、健康や社会、経済に深刻な影響を与えている。糖尿病の予防や治療、さらに中日両国が関連の医学分野で展開している協力事業について、中国にたびたび足を運び、糖尿病のボランティア診察を行っている日本の著名な糖尿病医・飯塚陽子博士にインタビューを行った。人民網が伝えた。

 

中国と深い縁で繫がれた飯塚博士

飯塚博士は現在、東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科で糖尿病の臨床、研究、教育などに20年以上携わっている。


飯塚博士は中国とも深い縁があり、「父親が中国人で、母親が日本人。中国で生まれ育った」と話す。
そのため、飯塚博士は中国にも深い思い入れがある。そんな彼女は日本経済産業省国際医療交流調査研究事業委員や日中医学協会日中医療交流協議会委員なども務め、中日医学交流や協力を促進している。


飯塚博士が糖尿病治療をめぐるプロジェクトを中国で実施するようになったきっかけは、2010年に招待を受けて中国で糖尿病治療に関する講演を行い、三甲病院(中国で最高クラスの病院)2ヶ所を見学したことだ。そこで、数多くの糖尿病患者を目にして、長年かけて積み重ねてきた治療理念や経験を中国に伝えたいという思いが芽生えたという。


それは、ちょうど日本政府が医療サービス国際化推進事業を公募していた時で、飯塚博士は帰国後、渡りに船とばかりにその申請を出し、中国での糖尿病のボランティア診療や関連の医学交流を先頭を切って行うようになった。


2011年、飯塚博士は医師や看護師、薬剤師、栄養士、関連の医療機器メーカーなどからなる医療チームを引き連れて、上海を訪問し、中国で第1回目となるボランティア診療をスタートさせた。同年10月から2012年2月にかけて、同医療チームは上海を5回訪問し、ボランティア診療を合わせて9日間実施し、糖尿病患者260人以上を診察した。


その話を聞いた浙江省杭州市のある病院は、飯塚博士率いる医療チームにオファーを送った。飯塚博士は上海から日本に戻り、スケジュールを調整して、同年、再び医療チームと共に杭州を訪問し、ボランティア診療を行った。


その後、2015年に再び仕切り直しを行い、飯塚博士率いる医療チームは北京を訪問し、第3回目となる中国ボランティア診療を行い、この3回の診療で、合わせて600人以上の糖尿病患者を診察した。中日医学交流促進の面で貢献したとして、 2014年、飯塚博士は、中曾根康弘賞・奨励賞を受賞した。

「チーム医療」という糖尿病医療理念を伝授

飯塚博士は長年の臨床、研究、教育実践を経て、「チーム医療」という方法を実践している。飯塚博士は、欧米人と比べると、アジア人のインスリン分泌能力はかなり低く、薬物の用量が欧米並みの中国の場合、患者は低血糖を発症することが多いほか、食べるものや飲み物を厳しく制限すると、患者が落ち込み気味になったり、治療に対して不信感を抱いたりするようになるという。


試行錯誤を経て、飯塚博士は、食習慣や運動、生活習慣を改善することをメインとし、薬物療法をサブとする糖尿病治療において、医師、看護師、薬剤師、栄養士が連携して治療に当たる「チーム医療」が重要と考えている。医師が診療、看護師が糖尿病教育とフットケア指導、栄養士が食習慣と生活習慣を改善する指導、薬剤師が服薬指導を行う。各ステージで行うことを明確、かつ合理的に設定した治療を継続して行うことで、患者に積極的に治療に取り組んでもらうことができ、良い効果を挙げることができる。


飯塚博士は、中国人と日本人は同じ東アジア系民族であるため、中国でも同じ治療方法が効果的であると考え、医療チームを引き連れて上海、杭州、北京でボランティア診療を行い、日本と同じ「チーム医療」を実施したところ、優れた成果を挙げた。上海で、糖尿病を20年以上患っている80歳近くの高齢者は、同チームの診療を受け、「カロリーとバランスに注意すれば、何を食べても大丈夫」という指導を受け、同患者は2011年10月から2012年2月の間に、5回診療を受け、その病情に目立った改善が見られた。最後の診療の際には同患者から飯塚博士に感謝の手紙が手渡されたのだという。


上海、杭州、北京でボランティア診療を展開し、中国の数多くの患者が、飯塚博士が実践する「チーム医療」を知るようになった。飯塚博士によると、「ここ数年、100人以上の患者が治療を受けるためにわざわざ日本にやって来た」という。

医学を中日交流の架け橋に

中国の多くの患者に認められ、期待されたことを受け、中国と深い縁のある飯塚博士は、中日の医学の分野の交流、協力を促進し、医学を中日友好の架け橋にしていくという思いを一層強めている。飯塚博士は、「自分が長年積み重ねてきた専門知識と経験、さらに中国語が話せるというメリットを生かして、中日両国に、糖尿病をテーマとし、予防、診断、治療を一貫させた体系を確立させた臨床、研究、教育を含む協力拠点を構築したい」とその目標を話す。


飯塚博士は、今月下旬に、東京大学医学部附属病院のメンバーと共に北京を訪問し、中国の複数の病院と交流を展開するほか、関連の国際医療ツーリズムイベントに参加する計画という。
今回の北京訪問中の交流や出展について、東京大学の副理事、医学部附属病院の塩崎英司病院長補佐は、「東京大学は、日本最高峰の大学で、各研究、教育の分野で非常に高い実力を誇る。そして、多くのノーベル賞受賞者も輩出してきた。医学部の附属施設として設立した附属病院は160年の歴史があり、日本最高の医学臨床、研究水準を誇る」と説明する。


塩崎氏は、「中国は現在、急速な高齢化に直面しており、糖尿病を含む生活習慣病患者が急増中だ。どのようにライフスタイルを改善して、健康を促進するかに、中国の各方面が重視している。高齢化社会としてこの課題に先行していた日本は、『予防医療』という概念を打ち出し、ライフスタイルの改善から着手して、病気、特に高齢化と関係のある病気の予防をメインとした治療を行っている。例えば、糖尿病では、一次予防(発症予防)、二次予防(合併症予防),三次予防(合併症による臓器障害を予防)という具体的な目標を掲げている。当院は、中国への訪問と交流を通して、日本のこの分野における経験を、中国の医科学関係者や患者に伝え、中国の健康事業に寄与したい」と語った。

東京大学医学部附属病院(撮影・鄭瑾)。

人民網のインタビューに答える東京大学の副理事、医学部附属病院の塩崎英司病院長補佐(撮影・鄭瑾)。

 

出所: 人民網日本語版 (2019年11月22日)

ページTOP